:: RM>>09-07




 「ひっでーもんだぜ……」

 マシシと琅玕はリビングに立ち、思い思いの格好でソファに沈む四人を順番に見下ろす。
 先ず初めに、ワインを一杯飲み終わりかけたエティが部屋に帰ると呟きながらおもむろに立ち上がり、心配するアスカを振り払って覚束ない足取りでダイニングを出たきり戻ってこなくなった。
 次いでアスカが、いつの間にやらテーブルに突っ伏して寝息を立てていたため琅玕によってソファへ運ばれ、ついでに行き倒れるように床でソファに上体を突っ伏して眠っていたエティもきちんと寝かされた。
 早すぎるペースで飲んだおかげで酔いの回った籽玉が、気持ちよさそうに眠り続けるアスカを起こそうと散々絡んだ挙句に折り重なるようにして眠り、琅玕に引き剥がされて寝かされた。
 最後に、マシシがその様子を見て呆れていた後ろで、シイラもまたテーブルに額をぶつけてから眠りに落ちた。一滴も飲んでいないシイラは単純に眠気の限界がきただけなのだが、ひとまず横にならせて、マシシと琅玕は静かに飲み続けていたのだった。

 「……まさかアスカがこんな簡単に潰れるたぁな……まだ三、四杯だったんじゃねーのか?」
 「ああ。 それにエティまで……」
 「考えてみりゃ、この人もロクに酒飲んだ事ないんじゃねーか……。 ったくよー、こういう役回りはいっつもオレらだぜ……。  おいアスカ! 起きろよ、家に連絡すんじゃねーのかよ!!」

 マシシがソファに横臥するアスカの腕を引っ張り、耳元で声を張った。アスカは微かに呻いて眉根を寄せるが、目すら開かずまたすぐに健やかな寝息を立て始める。

 「……だぁめだ、起きゃーしねぇ」
 「二人を寝室まで運んで、後片付けして帰ろう」

 琅玕の上着を掛けられてすやすやと眠る籽玉の頭をひと撫でしながら琅玕が言い、マシシは大きくため息を吐き出してから頷いた。

 「だな。 とりあえずオレは先にコイツ送ってくるわ」

 眠るシイラの小さな体を横抱きにして、マシシは肩を竦めた。



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